2022年のテーマはリペラブル。
『自分で修繕できる』という意味を込めた『リペラブル』を追求していきたいと思います。
『リペラブル』を語る上で忘れてはならないのが『ハーフビルド』またはDIYですが、
その関連性は後ほど。
『リペラブル』というテーマに行き着いた最初のきっかけは、LED電球の普及に伴う違和感でした。
省エネ性能の高いLED電球が主流になるのには異論はありません。
ただ、ダウンライトなどの機器本体にLED電球が組み込まれた機種が主流となり、
後々電球だけを交換できる機種が少なくなっていくのに違和感を覚えたのです。
それって、自分で電球を交換するのではなく、機器本体ごとプロに交換してもらう仕組みに
知らず知らずのうちにスイッチしているってこと? という思いが湧き上がってきたのでした。
そんな違和感に立つと、自分のチカラでは交換が難しくなる照明装置だけに限らず、
住空間を構成するパーツの多くは、今この段階で、素人では〝やり直しが効く〟=〝修繕できる〟
部分が少ないような、そんな風に見えているような気がしてきたのです。
でもそれって本当のことでしょうか?
DIYが得意な方は、この疑問に対する答えを既に知っています。
そう、答えは『NO』なのです。
自分でやる気にさえなれば、我が家の壁は自分で塗り直せるし、床は補修や貼り直しができるし、
家具も造り直せるし、電球に限らず照明装置そのものも取り替えが効くし、外壁だってやり直しが
効くのです。たった二つの条件さえクリアしてさえいれば・・・・・。
その二つの条件の第一番目が、最初の段階で、自分で修繕できるような素材や機器を選択して
おくということ。電球を交換できるような照明装置を選び、塗り足しができる左官仕上げの壁材を選び、
床は補修や貼り直しができる無垢材を選び、無垢の木やアイアンで造った家具を選び、自分で補修が
できる木の外壁材などを選んでおけば、後々のそれが必要なタイミングにおいて、自分のチカラで
修繕ができるのです。
逆に言えば、プロに依頼するしかないような素材や機器を選ぶという行為は、
自分で修繕するという選択肢を放棄しかねないというわけです。(DIYが得意な方にはもっと幅広い
選択肢があります!)
二つ目の条件は、自分で修繕できるためには、それができるようなスキルを身につける必要があるということです。
ここで『ハーフビルド』という方法が浮かび上がってきます。そう、建築の最初の段階に自ら参加する
『ハーフビルド』という〝トレーニング〟プロセスを経験していれば、自ずと自分で修繕できるためのスキルが身につきます。
ようやく『リペラブル』と『ハーフビルド』の関連性が、点と点がつながり一本の線になるように
一つの物語という形になってきました。
写真は、外壁に使う木材に保護塗料を塗る建主さんの姿です。(つい最近)
この建主さんは、数日間をかけ、なんと100枚以上の木材に保護塗料を塗り上げました。(お疲れ様です!)
この経験は十年後、自分で外壁材の塗装をやり直す(リペラブル)際に必ず役立ちます。
そしてここも大切なポイントですが、数十万円の工事費のコストダウンを実現できるのです。
自分で修繕できるスキルを身につけるためのトレーニングを兼ねたハーフビルド、
それがコストダウンに直結しているということです!
敬愛すべきイタリア人は、なんでも自分たちでリペアします。
どの街にもペンキ屋があり、我が家の壁や塀やデッキや家具は自分たちで塗り直しますし、
古い納屋を自力で改装してレストランを造り、歴史的建造物の内部に自分で手を入れて
新しいモダンな住空間を誕生させるなんて朝飯前です。
そうです、DIYが当たり前なのです。
弊社がブランド展開するフォレストバーンという自然暮らしのための住まいの提案では、
この『リペラブル』を標準化していきたいと考えています。
オランダには『フェアフォン』という世界一エシカルなスマホメーカーと呼ばれる企業が
ありますが、その取組はまさに「自分で分解、修繕できるスマートフォンをつくる」というユーザーに
対してフェアな立場に立つこと。(例えばカメラパーツだけを最新カメラにアップグレードできたりします!)
フォレストバーンを、そんなエシカルな住宅ブランドに育てていきたいと考えているのです。
私たちもユーザーに対してフェアな立場に立ちたいと考えています。
ただ単にプロの視点でデザインや素材や仕様を押し付けるのではなく、共に考えながら前に進む
家づくり。住まいを道具として捉え、それをうまく使って自分たちの人生の目標に向かっていく方法を
お伝えできれば、という思いがあるのです。
この考え方に基づいた『ハーフビルド+リペラブル』という新しい展開が、
私たちの2022年度の目標です。
プロトハウス事務局代表 桑原あきら
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