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プロトハウス通信 - Stedsans[ステッドサンス]-

プロトハウス事務局から贈る〝住まいは人生を変える最高の道具〟というメッセージ。 


by protohouse
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NO FOOD NO LIFE ✖️ Agricultural HOUSE

晴れた日には遠足でもできそうな段々畑の天辺で、小富士ヒュッテの建築工事が進んでいる。

白い花びらがついた梅の樹を左に配し、

段々畑の一番上から海を見渡すように立つそれが農的な家であることは、

はたから見ても、今のところはわからない。

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まあ実際のところ、世の中には、見た目ではわからないことが多いもの。

まるで人生そのもののように。


彼女の場合も、自分が食べ物について人一倍のこだわりを持つようになり、それも

あってか、まさかこんな場所に、こんな建物を建てることになるなんて、想像だに

していなかったに違いない。


彼女がそれに気づいたのは長女を出産して間もなくのことだった。

年が明けたばかり、強烈な寒気団に見舞われた一月に、

乳房に激痛が走りインフルエンザのような悪寒と発熱が続いたのがはじまりだった。

乳頭が切れたような痛みだった。

吹雪のような轟音が窓を叩く中、授乳がうまくできないので赤ちゃんが泣き叫び、

眠れない夜を何日も過ごした。

医師から乳腺炎であることを告げられ、

助産師による搾乳などのケアが必要であることを教えてもらった。

粉ミルクもすすめられたが、直感的にその選択肢はないなと彼女は思った。

土俵際のうっちゃりのような彼女の直感は、子供の頃からよく当たる。

夫のSくんが多忙な折は、彼女の親である妻と僕が、病院や助産師のところに何度も車で送り迎えした。

あの時の赤ちゃんが小学二年生になった今となっては、

この乳腺炎事件もまた、若い家族の思い出の一つではあるけれど、

彼女は、それ以来、一つの事実に注意を向けるようになった。

食べ物のことである。口にする食べ物次第で母乳の出に明らかな違いがあることを体験した彼女は、それ以来、自分たちが口にする食べ物には人一倍気を使うようになった。

添加物の入った商品は買わない。そして、可能な限りオーガニックな食材を選ぶようになった。

彼女が気づいたのは、乳房の痛みだけではなく、

その根本原因と思われる食べ物の持つ重要な意味だったのだ。


彼女のこの気づきは僕や妻にも好影響を与えた。

直感力は娘に負けないくらい僕らも持っているし、

良いと思ったことにチャレンジしないという選択肢は僕らの生活辞典にはない。

食べ物に対する意識を高めはじめた僕らは、手始めに、玄米をいただくようになった。

すると、しばらくして、僕の場合は、顔や脛のムクミがなくなり、体重が一気に落ちた。

ファストフード的な物を食べるのは〝どうしてもジャンクフードが食べたい〟という欲望に負けたときだけにして、玄米や酵母、酵素といった食品に関する情報をアップデートしながら、できるだけオーガニックな食品を扱うスーパーで買い物するように心掛けた。

産地や添加物の有無、無農薬や有機農業のことなどが選択の新しい基準になった。

(もっとも、念願のイタリア旅行をしたときには、この基準のことは棚にあげた。

時折のジャンクフード誘惑と同じく、美味巡礼の旅に堅苦しさは似合わない(笑)。)




真面目な話・・・・・。

それがちょうど就職活動真っ只中であったことから今でも忘れられないのだが、

僕は大学三年生のときに花粉症を発症した。演劇部に所属していたからか当時はそれなりに目立ちたがり屋だったので、講義にはいつも大きなティッシュボックスを持参したものだ。赤鼻をした僕は、水のように垂れてくる鼻水を柔らかなネピアでおさえ、

痒い目をこすりこすり講義を受けていた。

それ以来、ほぼ四十年ほどに渡って僕をクシャミや抵抗不能なダラダラ鼻水、酷いときには鈍い頭痛や不眠症にまで陥れてきた花粉症。


その花粉症までもが、できるだけ砂糖を摂らないようにしたことでみるみるうちに改善した。市販薬や耳鼻科処方の医薬品、はては漢方薬に至るまですべての〝薬に頼る習慣〟で解決できなかった人生の大問題が、水が引くように改善していったのだ。


口にする物で体調は一気に変化する、そう実感した。

グルテンフリーを心がけているジョコビッチに習うまでもなく、毎日パスタばかりを

食べていると(それがどんなに美味であろうと!)残念なことに、体の調子は狂ってしまう。




その後、自然暮らしを求めて糸島で暮らすようになった彼女は、

Sくんと話し合い、自然農のグループに参加した。

糸島は自然農のメッカであり、自らが山村で田畑を耕しながら自然農の素晴らしさを

一人でも多くの人に伝えたいと活動する素晴らしい指導者もいて、

安全安心な食べ物を自給自足するコミュニティが誕生している。


食べ物を摂らずに生きていくことはできない。NO FOOD NO LIFE。

それが、自然の摂理に叶った安全な食品であれば、どれだけ心身が癒されることだろう。


小富士ヒュッテは、そんな娘家族のために僕がデザインした農的住まい(Agricultural HOUSE)だ。

暖かな陽射しがあたる南斜面の段々畑のような敷地は、彼女が直感的に探してきた。

ただし、最初から農的な住まいをイメージしたプランになっていたわけではない。


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打ち合わせ当初は、2階浴室とその前に張り出したウッドデッキから海を見下ろせる

リゾート感満載のプランになっていた。彼女たちのそれまでの価値観を元に描かれたプランは、延床面積も現プランの倍くらいになっていて、確実に予算オーバーが想像できるものだった。

我が娘と言えど、クライアントである。予算オーバーの件をいつ口にしようかと思い悩んでいた矢先、他の知り合いのために温めていた農的住まいのラフデザインを、

娘に、参考になるかもよ、と見せる機会があった。

すると、彼女の目の色が明らかに変わったのだ。

「これいいね!」とほぼ一目惚れの様子。コーヒーでも飲みながら話そうということになり、近くの古民家レストランに行ったのだけど、その店の外土間から内土間へとつながる空間もまた(農作業に従事する住人の姿が立ち現れて見えるような)すこぶる農的な構成であったために、

話は一気に盛り上がり、このプランで行こう! と相成った次第。


ここに来てまたしても、彼女の土俵際のうっちゃりが的を射抜いたのである。

それはおそらく、自然農のコミュニティに参加した娘家族の中で、

新しい価値観が目を覚ました結果かもしれない、と僕は思うのだが、真相やいかに。


というわけで、小富士ヒュッテもまた、引き寄せ住宅の一つとなった。

久留米でつくったロングバケーションや宗像でつくった

Hさんのための5.5坪の平屋がそうであったように。

知り合いのために元々描いていたプランは、予算のこともあって天井はさほど高くしていなかったが、

娘たちの場合はロフトから屋上に上がりたいという要望があったため、

ほぼ二階建て並みの天井高になった。紆余曲折があって、知り合いのための住宅づくりは

実現しなかったのだけれど、このプランがあったおかげで、農的空間を求めていた娘家族の心に創造の炎が立ち上がり、小富士ヒュッテという形でこの世に誕生した。


知り合いにはただ感謝するばかり。それにしても、何が人の心を引き寄せるのか、それは想像を超えている。

ただ大切なことは、夢を描く者として〝今此処〟にあることに一生懸命になることなのだと思う。

描き出す空間に魂が宿れば、それに共感する人の心を動かす。

(歴史学者が言うように、それは虚構を共有することができるがために、

今まで地球上での生存を続けてくるとができたホモ・サピエンス特有の現象なのかもしれない。)


小富士ヒュッテは、日本の民家がそうであるように、家の外と内とをつなげる土間が

大きな役割を担っている。庭の菜園で採れた野菜を土がついたまま運んできてドンと置くことができる外土間と、スリッパ履きを想定した室内の内土間が並行して空間を構成する。見上げるほどの天井を持つ内土間の中央には薪ストーブがデンと構えていて、

その前にダイニング&キッチンと、小上がりの畳リビングを設けた。

外土間には手摺も兼ねたバードカウンターもあるので、朝ごはんを食べながら、

そのカウンターで餌をついばむ小鳥たちの姿を見て楽しむこともできるだろう。

ここでも、日々の楽しみを味わうことができる処を随所に設えたのだ。

その楽しみの先に、娘やSくん、

そして子どもたちはどんな人生の目的を発見していくことになるのか。

それを見続けるのが、父でありデザイナーでもある僕の日々の楽しみだ。


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糸島市小富士は、可也山(かやさん)の南斜面に広がる集落で、梅林公園が有名。

毎年、梅の花がかおるこの季節になると、大勢の人で賑わいを見せる。
梅をはじめとした季節の花々、登山道を包むような大きな樹木たち、そこを吹き渡る風。
そして暖かな陽射しに感謝しながら下を覗けば、穏やかな内海が見渡せる。
山羊や鶏を飼っている
人も居て、訪れた人はそこが桃源郷であることに感動を覚える。
小富士ヒュッテの敷地の中だけでなく、
この集落一帯に日々の楽しみが、数えきれないくらい用意されている。



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by norikon23 | 2022-02-28 07:09 | 進行中の家づくり