黄金のたたき台
2022年 10月 06日
_____________ちっちゃい!______________
・・・・・由布の森に建てた、ちっちゃいのに広い!魔法のスモールキャビンCOYAKICHI。・・・・・
・・・・・そんなちっちゃな小宇宙に暮らす、僕と家族、そして森の住人たちの12ヶ月。 ・・・・・・
10月1日
今回は、実際のリフォームの現場から、コヤキチの現場へとリンクして、リアルな話をしよう!
いつだって現場には証拠があふれている。
スタンドに飾られた写真。使い込まれたキッチン。壁に貼られた賞状の数々。
本棚に収まりきれない書籍たち。割れたガラス戸・・・・・。
中でもこの日の現場で目を引いたのが、外壁をおおうグリーンカーテン。

ゴーヤやカボチャの蔓たちが、数十年前に増築したという建物の外壁を蹂躙している様は圧巻だった。
そう。現場には、家族がこれまでに実演してきた生活の痕跡が山積みなのである。
一通りの現場調査とご要望のヒアリングを終えたのちに、
累々たる証拠の山にかこまれながら、これからの家族が歩んでいく未来をどうデザインするのか、
僕はいくつかのたたき台を語り出す。
まずは、リフォームか建て替えか。根本的な問題を提示する。
依頼主の要望は、予算内でのリフォームである。ますは、それができる範囲を説明し、
より本格的(耐震、断熱すべてに渡る)なリフォームの場合に想定される工事費を語り、
その本格リフォームにかかる工事費よりも安く新築できることをお話しする(実際、そうなんです!)。
これまでの経験値から説明するのだが、まだ2回しか面識のない人がどこまで信用して
くれるものか、依頼主の反応を見ながらの手探りである。
現場は都心立地。そこには、相続の問題が潜んでいる。
ヒアリングの過程で、これまでにも何度か、抜本的な建て替え案が持ち上がっては消えてきた
過去が浮き彫りになってくる。いつの間にか、ご主人の話を傍で聞くだけだった奥様が雄弁に語り出す。
さらに突っ込んで、土地を半分売却して残りの土地に家を建てるというたたき台を提示する。
そうすれば、リフォームに考えていた現金には手をつけないことも可能かもしれない。
こんな風にいつだって、僕はたたき台を提示して、依頼主に考えてもらう。
依頼主の人生を、僕らが決めることはできないからだ。
ただ、これまでに見てきた大勢の方の事例をもとに、
今回のケースについて想像できる未来について語ることはできる。未来が見えると言えば
大袈裟だけれど、自由な未来と不自由な未来の2つしか、
その先にないことを、おそらく僕らは気づいている。
最初に提示するのが銅のたたき台。次に銀のたたき台となり、最後には黄金のたたき台となる。
打ち合わせを重ねるごとに、徐々にそのたたき台は完成度を増していく。
その完璧にほど近い未来の姿を黄金のたたき台にしていただきながら、
そのたたき台のささやく声に耳を傾けていただくよう、お話しする。
そして、この想像を寝かせる。じっくりと考えていただく。ゆっくり家族の未来を想っていただく。
ちっちゃいのに広い、魔法のスモールキャビンcoyakichi。
このコヤキチも、そんな黄金のたたき台なのである。たった◯坪しかないのに、こんな暮らしが
できるの! という驚きの中で、空間に対する既成概念を壊していただくことから、
この黄金のたたき台は力を発揮する。
さらに、細々と仕掛けられたデザインからどんな風にして日々の楽しみが生まれていくのか
を体験していただく。そして、〝自分だったらこんな風に使ってみたい〟という自分なりの考え
が浮かぶようになると、それが自分なりの意見として口から出てくる。
コヤキチのモデルハウスは、建主が自分の既成概念を打ち破り、自由な未来へと一歩踏み出す
ための黄金のたたき台。学びの場として、活用していただきたいのだ。
ここでは、この既成概念を破壊する装置を活用したいという仲間も募集する。
腕のいい工務店が〝イマイチ煮え切らない建主に、空間の可能性を発見してほしい〟というケース
をはじめ、スモールビジネスを展開したい起業家などにも活用してほしい。
コヤキチは、〝世界でいちばんちっちゃな森のお店〟としても使えるはずだ。
世界でいちばんちっちゃな本屋さん
世界でいちばんちっちゃなカフェ
世界でいちばんちっちゃな劇場
世界でいちばんちっちゃな映画館
世界でいちばんちっちゃなパティスリー
世界でいちばんちっちゃな雑貨店
世界でいちばんちっちゃな家具店
世界でいちばんちっちゃな・・・・・・・!
いろんな黄金のたたき台が、ここには眠っている。
コヤキチの建築現場は、間もなく外壁を貼るところ。
可変透湿シートの上には、通気胴縁が設けられていた。この上に杉板の外壁が貼られる。

どうだろう、この美しいプロポーション。
水平に伸びる破風がシンプルで潔い。
ちっちゃくてカワイイのに、力強ささえ感じてしまう。
(今日も自画自賛か~!!!)


内装も、断熱材を施工した上で、こちらの可変透湿シートを貼った。
ダブル透湿気密という理想的な断熱システムを、ここでは体験できる。これもまた、
パッシブシステムの新たな黄金のたたき台なのだ。
( 桑原あきら )



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